パリに来て1年半あまり。昔一度留学していただけあってその頃からの友達もいるし、どこに何があるかなどだいたい把握しているので、いきなりパリに来ちゃったところでそんなに困ることはなかった(ありがたや〜)が、学生の時と今とでは時間の流れ方が違うというか、世界と関わる「濃さ」が違う気がする。
何かの本で「パリほど日本人の持つイメージと現実のギャップが大きい街はないのではないか」と言っていたが、実際そうだと思う。「ファッションの街」と言ってもすごくオシャレなのはファッション関係者くらいだし、「アムールの都」といってもそんなステキなアムールはそこらへんに転がっていない(代わりにかるーいナンパ野郎はそこらへんに転がっている)。
パリは東京の山手線の輪の中にすっぽり入るほど小さな首都だが、この狭いところに色々な人種が暮らしている。NYも真っ青のメルティング・ポット状態(実際、NY同様"melting"はしてなくて住み分けがなされてるが)。東京ほどバラエティーはないものの、移民の数ほど美味しい各国料理が楽しめる。外国人だけではなく、もちろんフランス地方出身者もたくさんいるので、様々なアクセントのフランス語が聞こえてくる。
私はまだ標準フランス語以外のフランス語を理解できる耳が出来上がっていない。つまり生活していて1/3、へたしたら1/2くらいの人のフランス語はまだ聞き取れない状態。メトロで電話している人が話している言語が最後の方でやっと「げっ今のフランス語か?!」と気づくこともあるし、道を聞かれて(何故私に聞く?)おばさんの言ってることがさーっぱりわからなかったり。特に私の住んでいる20区あたりでは私のわからないフランス語で話す人が多いので、もう外国語だと思い込むようにしている。←いいのか?
大学の先生でも、もろ南訛りの人もいるし、語学学校を卒業して以来、私の理解できるフランス語が私の生活から激減してしまった気もする。今のところ、南訛りの理解はマスターしつつあり、TVを見ていて南訛りの物まねを披露できるくらいまでいった(特にサッカー解説者のDaniel Bravo)。つまりphonetiqueでいうvoylelle nasale(鼻母音)を発音しなければいいのだ。しかし「南訛り」というのはマスターしやすいのだろうか?思えば、英語でも私は南部訛りの物まねをやっていた覚えがある(披露するのは勘弁して)。
そういえば私は生粋のパリジャンに会った覚えがない。「生粋のパリジャン」というのは江戸っ子みたいに3世代住まないと認定されないものなのかどうかわからないが、とにかく、パリ市内で生まれたが物価が高くてすぐに親が郊外に移り住み郊外育ちとか、そういう人しか知らない。ちなみにそういう人に限って「僕はパリ生まれだ」と言い張るので可笑しくなる。はいはい。
実際に会ってはないが、友達(アメリカ人)の友達の親が両方ともGoncourtで生まれ育ち、今でもそこのアパルトマンに住んでいて「昔からするとGoncourtもだいぶ変わったのう」なんて話していた、というのを聞いたことはある。とすると、私の友達の友達は少なくともGoncourtに生まれ育って3代目だから、生粋のパリジャンと言えると思う(江戸っ子の定義を当てはめた場合)。一度、パリに遊びにきたアメリカ人の友達に会いに、その友達(あ、こんがらかってきた)がご両親から譲り受けたというアパルトマン(両親は上の階に住んでいる)に伺ったことがあるが、大アパートという訳ではないけど、とても住みやすそうで感じのいいところだった。
学生の頃は観光気分でわいわいと毎日放課後にはどこかしらに出かけ、パリの観光名所はほとんど網羅したものだが(晩ご飯後に散歩に行きたくなり、ベルサイユ宮殿まで出かけ閉園時間になって危うく係のおじさんに門を閉められるところだった、という無謀な話もある)、現在はその頃には気づかなかったそんなパリの奥深さに「ほっほー」と感慨深い思い(観光地に行く気力と体力を失ったとも言える)。
私も自分の九州訛りをもう一度見直そうかと思い、相方相手に長崎弁で喋りかけたりしてみるが、ただでさえ日本語でまくしたてられると全くわからないのに加え、さらに宇宙語みたいなイントネーションと語尾をくっつけて話しかけられるので、さすがの相方(最近日本語の勉強頑張っている)も「やめてくれ…」とダメ出し。よかたいー長崎弁の日本語ば勉強するとも面白かとに。
パリ:夏のソルド開始!
12 years ago
0 comments:
Post a Comment